「こころの医療宅配便」

f0119179_141931.jpg今年7冊目に読んだ「おじいさんの台所」がいまいちだったので、小説ではないけど「こころの医療宅配便~精神科在宅ケア事始」のレビューを。ラジオ番組でも長年お世話になっている精神科医・高木俊介先生の近著で、日本初の在宅ケア専門の精神科医療サービス「ACT-K」の活動を綴ったもの。日本では人里離れた病院に閉じ込めるように入院させてきた統合失調症の患者さんを我が家という生活の場で治療、支援する取り組みは、当初から存じ上げていましたが、具体的なことはこの本で初めて知りました。統合失調症というと特殊な病気のようですが、100人に1人の割合で発病するポピュラーな病気なんだとか。20~30代で発病する人が多く、ノーベル賞を受賞した数学者やフランスの女性彫刻家、日本の著名な小説家なども統合失調症だといわれているそう。精神分裂病という病名の変更に高木先生も尽力されてたけれど、先生が元々の名付け親だったことも初めて知りました。
本にはいろんな患者さんが紹介されていますが、正義感が強く、自分は世界一強い超人という妄想のため、世界を救うために戦ってるつもりなのに、大暴れしたため精神病院に隔離されてしまった男性の話は本人には酷な話だし、現実を受け入れるのは辛いだろうと思います。こうした妄想体験から使命感に燃える人も多く、新興宗教の教祖などにはこの病気を持った人が少なくないと言われているそうです。患者に対する偏見をなくすためには、地域の人に彼らの姿を見て貰うのが一番と高木先生。この本を読んで統合失調症の人に対する恐れが完全になくなった訳ではないけど、もっと知りたいし、こうした活動が各地に広がると良いなと思います。
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by mmcmp | 2010-04-10 02:21 | カフェ読書 | Comments(0)
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