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「武士の家計簿」

「武士の家計簿」_f0119179_21542383.jpg「武士の家計簿」を観ました。加賀藩の御算用者として仕えた下級武士が残した家計簿と日記を基に幕末維新の頃を生きた家族の姿を描いたもの。館内に入ったら平日のせいか客層の大半が中高年で、ちょっとビックリしました。
借金を抱えた武家の倹約ぶりをコミカルに描いた作品かと思ったら、タイトルバックに流れてきたのは暗めの曲。長男の袴着の祝いに鯛の絵を「にらみ鯛」にする場面も笑うというより、切ない感じがしました。さまざまなエピソードを経て先代から次代へとバトンがつながれていく様子が見事に描かれ、家計簿と日記からこれだけの家族ドラマを紡いでみせるスタッフはすごい。祖父の葬式の日にもそろばんをはじく父に反発した息子もやはりそろばんに向かう。同じ立場になると父は決して冷淡ではなかったことが、身をもってわかるんですね。この映画には先行き不透明な現代を生き抜くヒントだとか、家族の絆だとかがあると言われてるけれど、子供を産まない選択もある現代、次代につなぐものは命だけではないはず。主人公の直之がそろばんを息子に残したように、持てる知識や技術をつなぎ、受け取った者は自分までつないでくれた先人を敬う・・・。剣の腕が役に立たなくなったように、デジタル化でアナログ人間が培った技術が時代遅れになり、知恵の伝授がされてない現代社会の脆弱さを痛感することが多い昨今、現代人が取り戻さなくてはいけないのは、寧ろそういうことなんじゃないかとモモ母は思うワケです。そういう意味でも、この映画はもっとたくさんの若い人に観て欲しい。サムライと言えば龍馬みたいな革命児や剣豪ばかりじゃないし、それだけが格好良い訳じゃない。直之みたいに誠実に生きた普通の人々がいて、今の日本があるワケですよね。
by mmcmp | 2011-01-12 23:13 | 観劇・鑑賞 | Comments(0)
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