この前新年を迎えたと思ったら、もう立春。節分には例年通り壬生寺に行きました。帰りに近くのスーパーで豆を買おうとしたら250円。買わずに一旦帰宅してから別の店に行って、88円で買いました。美味しい粕汁の為なら600円の酒粕を何度もリピするけど、豆まきの豆に250円は高くて出せないモモ母です。
さて、朝井リョウの「世界地図の下書き」を読みました。両親を事故で亡くし、施設で暮らし始めた太輔と同じ班の仲間たちの交流と、それぞれが抱える悩みを描いています。高校生の佐緒里が施設を出る前に子供達はある計画を立てる。子供の日常世界で起きることだから、ものすごい出来事が起きる訳ではなく、やや退屈なところもあるのだけど、時折、琴線に触れる描写が挿入されてたりもします。自分が何かしたところで、何も変わらないことを知ってしまった太輔。もう父や母にはどうしたって会えないし、同級生からいじめられている麻利は、好きな靴を入手した時と同じ気持ちではもう履けない。佐緒里は本当は東京の大学に行きたいのに、受験を諦めて親戚の家業を手伝わないといけない。世の中には約束を守っても変わらない人がいて、いじめる奴はいじめ続ける。計画が成功したところで現実は変わらないけど、それでも計画を成功させることで、これから待ち受けるであろう困難に立ち向かう強さを身につけた子供達。朝井リュウは体罰を受けた高校生が自殺したニュースを聞いて、この作品を書こうと思ったとか。佐緒里は憧れているアイドルが主演するドラマの「あたしたちはあたしたちみたいな誰かと、また出会えるんだよね」という場面を何度も繰り返して見ます。人生嫌なこと、諦めざるを得ないことも多いけど、信頼できる仲間とも出会っていける。子供達にそんなエールを送ろうとする若い作者の思いが伝わる作品でした。