2017年 08月 21日 ( 1 )

「むかしのはなし」

f0119179_148201.jpg20日のNスペ「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」も面白かった。終戦からの1年間、戦後ゼロ年の東京を写した貴重な映像に山田孝之が入り込むドラマ仕立てのドキュメンタリー。今のデジタル技術ってこんな演出が出来るんですね。なんか浅田次郎の「地下鉄に乗って」を思い出すと思ったけど、菅野さんは「種本は『敗北を抱きしめて』だな」とツイート。なるほど、初めて知りました。読んでみようかな。(ちなみに「踊る宗教」北村サヨに関連して菅野さんがこんなツイートも。サヨさんは安倍さんも敬ってるそうです。)
そう言えば、カフェ読書の記事を長く書いてないので、日曜に読了した三浦しをんの「むかしのはなし」のレビューを。「かぐや姫」や「桃太郎」などの日本昔話の概略を冒頭に記した7つの物語。父親の一族の男達はみな短命だという「ラブレス」や叔父との恋を語る16歳の少女の告白「ディスタンス」など、それぞれが独立した作品だと思ったら、「入江は緑」で3ケ月後に隕石が地球にぶつかることが発表され、その後の作品で描かれるのは地球に残った人だったり、ロケットで脱出した人だったり、あ、連作か・・と漸く気づく。日記や取り調べ調書等、形式もバラバラ。でも、「ロケットの思い出」で犬のロケットが川から流れてきたエピソードがあると思ったら、「たどりつくまで」のタクシードライバーが子供の頃、子犬をダンボールに入れて川に流した経験があったり。表現や組立に作家の貪欲な姿勢が見えて、さすがと思わせる小説集に仕上がってました。特に好きだったのが空き巣犯が語る「ロケットの思い出」とモモちゃんを裏切って脱出ロケットに乗った「僕」が語る「懐かしき川べりの町の物語せよ」。最終話「懐かしき・・」の「途方もない孤独感と、だけどかすかに存在するひりつくような連帯感」は犬のロケットの命日には晩飯を食べないという「俺」や他の作品にも共通していて、それ故に、どの昔の話も未来を生きる者の心に残る様です。
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by mmcmp | 2017-08-21 03:29 | カフェ読書 | Comments(0)