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「虹の谷のアン」

f0119179_0225023.jpgほらほら、危惧してた極右大連立の可能性を指摘する声、最悪の事態を恐れる声がチラホラ。中島岳志さんのこんな怖いツイートもあって、今年の流行語大賞は「国難去ってまた国難」だったりして。
さて、アンブックスのレビューを書こうと思っていたら、神谷明さんが槐柳二さんの訃報を伝えるツイート。槐さんといえば有名なレレレのおじさんよりも、モモ母は「赤毛のアン」のマシュウ役が好きでした。ご冥福をお祈りします。そのアニメや絵本でしかいらないアンをちゃんと読んでみようと年に一冊くらいのペースで読み続け、今年は「虹の谷のアン」を読みました。設定ではアンももう41歳。この作品ではアンもアンの家族も脇役で、話の中心は牧師館の子供達。途中で孤児のメアリーも乱入して、様々な騒ぎを起こしていきます。フェイスが可愛がっていた鶏のアダムが隣町から来た牧師をおもてなす為にしめられたり、自らへの罰として断食をして幼いユナが倒れてしまったり、やはり子供がメインの方が生き生きとして、「炉辺荘のアン」よりもずっと楽しく読めました。大人たちは狭いコミュニティで噂話に花を咲かせ、物語の世界として読むのは良いけど、住むのはちょっとなぁと思う。でもどうやらこうした平和で牧歌的な話はこの作品までの様で、次作では第一次世界大戦下でアン一家の男たちも戦地に赴くとか。それはまた来年以降に読むつもりです。
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by mmcmp | 2017-10-02 01:46 | カフェ読書 | Comments(0)

「漁港の肉子ちゃん」

f0119179_040249.jpg11日で今の京都駅ビルが開業して、もう20年だそうです。尖閣諸島が国有化されて5年、アメリカ同時多発テロから16年、そして父の87歳の誕生日でもありました。
西加奈子の「漁港の肉子ちゃん」を読みました。個性的な表紙。元テレビディレクターOさんに頂かなかったら知らなかったし、西加奈子って「蛇にピアス」の人だっけ?(いや、それは金原ひとみ)と思いながら読み始めました。悪い男に騙されて来た通称・肉子ちゃんは、まん丸に太った北の港町の焼肉屋で働く明るい38歳。作品は娘のキクりんの目を通して語られるスタイル。地方都市特有のコミュニティの温かさと、その一方で早く大人になって街から出たいという鬱陶しさも抱く聡明で多感なキクりんの語りが、肉子ちゃんや焼肉屋の主人サッサン、白亜の豪邸に住むマリアちゃん、すぐ変な顔をする二宮などの同級生を生き生きと描き出しています。起承転結とかヤマ場とかいうのがなく、小さなエピソードを重ねて淡々と肉子ちゃん母娘の暮らしが綴られて行くのは、今どきの小説ですね。まぁ昭和のヒーロー、ヒロインみたいな劇的な人生を歩む人はごくわずかで、大多数の人生ってそういうものですね。平凡な暮らしの中で肉子ちゃんはどんどん太り続け、キクりんは日々成長して、今の自分はもう二度と現れることはない。作品は作者が宮城県石巻市に一泊旅行をしたのがきかっけで生まれたそうで、人だけでなく街もずっと同じ形でいられないことを東日本大震災で痛感したと石巻に同行した日野淳は解説で書いています。いつかこの世から消えていくとしても、思いや「ここにいた」瞬間を残すことは出来る、それが小説を書くことではないかと作者は言います。作中、キクりん以外の「私」が語る場面が2回あり、1つはキクりんが生まれる時のこと。もう1つが水族館にいるペンギンのカンコちゃんの独白。遠い海から日本に連れて来られたカンコちゃんが語る数ページが、何故だか印象に残っています。
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by mmcmp | 2017-09-12 01:42 | カフェ読書 | Comments(0)

「むかしのはなし」

f0119179_148201.jpg20日のNスペ「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」も面白かった。終戦からの1年間、戦後ゼロ年の東京を写した貴重な映像に山田孝之が入り込むドラマ仕立てのドキュメンタリー。今のデジタル技術ってこんな演出が出来るんですね。なんか浅田次郎の「地下鉄に乗って」を思い出すと思ったけど、菅野さんは「種本は『敗北を抱きしめて』だな」とツイート。なるほど、初めて知りました。読んでみようかな。(ちなみに「踊る宗教」北村サヨに関連して菅野さんがこんなツイートも。サヨさんは安倍さんも敬ってるそうです。)
そう言えば、カフェ読書の記事を長く書いてないので、日曜に読了した三浦しをんの「むかしのはなし」のレビューを。「かぐや姫」や「桃太郎」などの日本昔話の概略を冒頭に記した7つの物語。父親の一族の男達はみな短命だという「ラブレス」や叔父との恋を語る16歳の少女の告白「ディスタンス」など、それぞれが独立した作品だと思ったら、「入江は緑」で3ケ月後に隕石が地球にぶつかることが発表され、その後の作品で描かれるのは地球に残った人だったり、ロケットで脱出した人だったり、あ、連作か・・と漸く気づく。日記や取り調べ調書等、形式もバラバラ。でも、「ロケットの思い出」で犬のロケットが川から流れてきたエピソードがあると思ったら、「たどりつくまで」のタクシードライバーが子供の頃、子犬をダンボールに入れて川に流した経験があったり。表現や組立に作家の貪欲な姿勢が見えて、さすがと思わせる小説集に仕上がってました。特に好きだったのが空き巣犯が語る「ロケットの思い出」とモモちゃんを裏切って脱出ロケットに乗った「僕」が語る「懐かしき川べりの町の物語せよ」。最終話「懐かしき・・」の「途方もない孤独感と、だけどかすかに存在するひりつくような連帯感」は犬のロケットの命日には晩飯を食べないという「俺」や他の作品にも共通していて、それ故に、どの昔の話も未来を生きる者の心に残る様です。
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by mmcmp | 2017-08-21 03:29 | カフェ読書 | Comments(0)

「雪のひとひら」

f0119179_0273615.jpg昨日のクイズに興味を持って下さった方もありますが、火曜は菅野さんも課題を出してました。こういうのにすぐにリツイートが来るのがすごいよね。維新の会が森友学園建設会社から献金を受け取っていたという府議の指摘もあったそうです。
さて、書くタイミングを逃してるうちに3月も下旬になりましたが、ポールギャリコの「雪のひとひら」を先月読みました。「スノーグース」や「ジェニイ」を買った頃に購入したものの、未読のままだった為、今年こそ雪の季節にと思ったのでした。ある寒い日に生まれた雪のひとひらが地上に舞い降り、山の中腹の村里で雪だるまの一部になったり、雨のしずくと結婚して子供が生まれ、火事を消化する水となって火に立ち向かい、夫が亡くなり、子供たちが独立して行き、ひとり海に流れ出て、やがて天に帰る。女の一生を比喩的に描いた名作と評価されているギャリコの代表作です。日本でもファンが多い様ですが、1953年に出版されて半世紀以上経つせいか、この手の寓話があまり好みではないせいか、ちょっと複雑な気持ちで読みました。子育てを終えた女性が、ふと人生の意味を考える頃に読むと、平凡でも懸命に生きて来た我が身を「それで良いんだよ」と肯定されている様で、感動するんだろうな。作者が男性であることも、男性がそうした女性の生き方を素晴らしいと言ってくれてる様で、じーんとなるんでしょう。50年代アメリカのキリスト教国家らしい作品だと思います。多宗教、独身の女性が増えた今のアメリカでは、どのくらい評価されているんでしょう? 今の日本に生きるモモ母には、美しい言葉で綴ったこの作品が、こんな風に生きろという教訓めいて見えてしまいます。14日のシンポジウムで菅野さんは森友問題は女性差別問題だと言ってます。これ、とても興味深い。(こちらも面白いのでリンクしときます)。なるほどなぁ~自分の考えが何に由来するのか、何に影響されて、そう考えるに至ったのか、一度振り返ってみると良いかも知れません。
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by mmcmp | 2017-03-22 02:14 | カフェ読書 | Comments(0)

月曜の森友報道と「夜明けの街で」

f0119179_22174994.jpg今日はまず渡辺弁護士の記事をリンク。現時点での問題点がうまく整理されてます。月曜は「ひるおび」などの昼ワイドも森友を取り上げてましたが、安倍さんのスポークスマンとも言われる田崎氏の安倍さん擁護が酷くで話題に。この会食のおかげかも知れませんね。隣の伊藤さんが「しつこく頼めるほど安倍さんと親しいということになる」と突っ込んでました。そりゃ籠池さんは安倍さんの携帯番号をご存知らしい?ですしね。昨日は「週刊報道LIFE」、今日は「モーニングショー」が良かったそうで、ワイドショーも取り上げる様になって、漸くテレビとネットのタイムラグがなくなってきたと思ったら、「ミヤネ屋」の様に安倍さんはおかしな学園に利用されただけという世論操作的な番組も。菅野さんがツイートした様に今夜も会食。店の前に緊急スタンディングとの情報もあり、明日はどんな論調の報道になるのか興味深いところです。
さて、東野圭吾の「夜明けの街で」を読みました。東野作品って加害者家族を描いた「手紙」や環境問題が絡んだ「真夏の方程式」など社会的な要素を盛り込んだエンタメ性の高いミステリーが魅力だと思うんですが、これは前半は殆ど男女の不倫話で広がりが少なく物足りない。不倫相手が時効間近の殺人事件の真犯人かも・・・という後半はちょっと盛り上がったけど、結末はご都合主義というか、そりゃないでしょという種明かし。でもまあ不倫や離婚の危機も現代日本社会を反映してるから、これも社会派ミステリーなのかも知れません。クリスマスやバレンタインなどのアニバーサリーに不倫中の世の男たちは妻に悟られずに愛人女性と会う為、こんな必死の作戦を決行してるんでしょうか。奥様方はお気を付け下さい。
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by mmcmp | 2017-02-27 23:31 | カフェ読書 | Comments(0)

「世界地図の下書き」

f0119179_1144946.jpgこの前新年を迎えたと思ったら、もう立春。節分には例年通り壬生寺に行きました。帰りに近くのスーパーで豆を買おうとしたら250円。買わずに一旦帰宅してから別の店に行って、88円で買いました。美味しい粕汁の為なら600円の酒粕を何度もリピするけど、豆まきの豆に250円は高くて出せないモモ母です。
さて、朝井リョウの「世界地図の下書き」を読みました。両親を事故で亡くし、施設で暮らし始めた太輔と同じ班の仲間たちの交流と、それぞれが抱える悩みを描いています。高校生の佐緒里が施設を出る前に子供達はある計画を立てる。子供の日常世界で起きることだから、ものすごい出来事が起きる訳ではなく、やや退屈なところもあるのだけど、時折、琴線に触れる描写が挿入されてたりもします。自分が何かしたところで、何も変わらないことを知ってしまった太輔。もう父や母にはどうしたって会えないし、同級生からいじめられている麻利は、好きな靴を入手した時と同じ気持ちではもう履けない。佐緒里は本当は東京の大学に行きたいのに、受験を諦めて親戚の家業を手伝わないといけない。世の中には約束を守っても変わらない人がいて、いじめる奴はいじめ続ける。計画が成功したところで現実は変わらないけど、それでも計画を成功させることで、これから待ち受けるであろう困難に立ち向かう強さを身につけた子供達。朝井リュウは体罰を受けた高校生が自殺したニュースを聞いて、この作品を書こうと思ったとか。佐緒里は憧れているアイドルが主演するドラマの「あたしたちはあたしたちみたいな誰かと、また出会えるんだよね」という場面を何度も繰り返して見ます。人生嫌なこと、諦めざるを得ないことも多いけど、信頼できる仲間とも出会っていける。子供達にそんなエールを送ろうとする若い作者の思いが伝わる作品でした。
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by mmcmp | 2017-02-06 03:28 | カフェ読書 | Comments(2)

「恋歌」

f0119179_14365989.jpg平成の治安維持法とも言うべき共謀罪の成立なしに五輪は開けないと安倍さん。五輪開催中は基本的人権を制限する話もある様で、松井計さんの言ってることの方が正しいと思います。
さて、朝井まかての「恋歌」を読みました。最初は上級国民のお嬢さんの思い出話という感じだったのが、途中から盛り上がりが凄くて、どんどん引き込まれました。「樋口一葉の師匠」として知られる歌人・中島歌子は水戸藩士に嫁ぎ、幕末の内乱に翻弄されて投獄。天狗党の志士である夫や愛情深い爺やを志半ばで失った壮絶な過去を綴った手記を、弟子の三宅花圃が読む形で物語は進行します。勝てば官軍とはよく言ったもので、良き国を作ろうと願いながら逆賊にされた天狗党は妻や子供まで投獄。「貧しさと抑圧が怖いのは、人の気ぃを狭うすることやな」と貞芳院が言う様に、男が始めた戦の為に愛する者と離れ離れになり、獄中で次第に礼節をなくす民の中で、処刑直前まで論語等を学ぶ武家の妻子。教育の大切さを感じさせる場面でした。情勢が変わると、天狗党を弾圧した諸生党が今度は虐げられる側に。攘夷だったはずの薩長が維新後の文明開化を積極的に謳歌し、多くの犠牲を忘れたかの様な平和に複雑な思いの歌子。手記を花圃が読む形式はまどろっこしくてイマイチと思ってましたが、大矢博子の解説によると、この作品は「伝えること」もテーマのひとつだとか。志に生きた男には敵にも味方にも妻や子供がいて、内乱の中を生き抜き、再生して行った。幕末の悲劇を知らず、ちゃらちゃらした明治生まれのヒヨっ子たちに、名も残せず死んで行った男たちや喪失を抱えて生き続けた女たちの犠牲の上に今が成り立っていることを歌子は伝えようとし、伝えることの積み重ねで歴史は出来ているのだと。なるほど、治安維持法を復活させようとする動きがある今、平成のひよっこである私達も、歴史を学び、受け継ぐ必要性を改めて感じます。
※何故か松井さんのツイッターへのリンクが何度やっても出来ない様です。クリックして飛ばない様でしたら面倒をおかけしますがFC2を経由して下さい。よろしくお願いします。
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by mmcmp | 2017-01-11 15:38 | カフェ読書 | Comments(0)

「雪と珊瑚と」

f0119179_22421195.jpg梨木香歩の「雪と珊瑚と」を読みました。梨木作品は「家守綺譚」は大好きだったけれど「裏庭」などはイマイチ。これはどうかな~と読む前は思いましたが、なかなか好きな作品でした。赤ん坊の雪を抱えた21歳のシングルマザー珊瑚が、「一日働いて帰って来る人が元気を取り戻す様な総菜を提供したい」と総菜カフェを起業し、成長していく物語。女性が店を始める話として「食堂かたつむり」を思い出しましたが、こちらの方が断然完成度が高い。カフェ開業を夢見る人には良き指南書に、立ち止まっている人や人間関係に躓いている人には前に踏み出す力になりそうな小説です。
現実はそんなに都合よく赤ちゃんを預かってくれる女性が現れたり、その人が料理上手だったり、その甥が無農薬野菜を作ってたり、借りることになった民家を好きに改装していいよと大家が言ったりしないでしょうし、カフェをやろうと思い立って実現し、駅ビル出店の話が持ち上がるまであまりに早すぎるとは思うけど、梨木作品はある種の寓話。自分は孤軍奮闘してるつもりでいたけど、親身になってくれる人が周囲にたくさんいたことに気づく珊瑚。そして周囲の人も皆それぞれの破綻を抱えながら、辛うじて社会は回っているのだと知る。「人は潜在的に復興しようと立ち上がる力があるけれど、それを確実なものにしていくのは温かい飲み物や食べ物」と外国の修道院で暮らしたことがあるくららさんは言います。丁寧に作られた滋味な料理は生きる糧となり、居心地の良い場所は人の心を癒す。そのことはモモ母も身を持って実感する日々です。解決しないことがあっても、毎日の生活は前に進む。いろんなものを栄養にして、人は生きていくんですね。
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by mmcmp | 2016-12-06 23:48 | カフェ読書 | Comments(0)

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

f0119179_228956.jpg昨日リンクした堤&古田の殺陣シーンからのオススメにあった「野獣郎見参」の動画、久々に見入ってしまいました。やっぱりいいなぁ~。堤真一の殺陣、また生で観たいです。
それはさておき、七月隆文の「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」を読みました。しちがつ?ふみづき?(正解はななつき)・・なんて具合に全然知らない作家さんで、元テレビディレクターOさんから頂かなかったら読むことがなかっただろう小説。ましてもうすぐ映画公開されるとは全く知らずに読み始めました。京都の木野にある美大のマンガ科に通う高寿が京阪の中で出会った愛美に一目惚れ。でも、愛美には秘密があって・・・。三条京阪で待ち合わせて新京極のシネコンで映画を観て三条大橋のスタバでお茶、動物園でペンクロッキーをしたり、宝ヶ池で記念写真を撮ったり、お決まりの鴨川で等間隔に座ったり・・と身近な場所で話が展開するので、20歳に戻って初々しくデートしてる気分で、どんどん読み進めました。これ、60代のOさんはどんな感覚で読まれたのか、気になるところです。とは言え、ライトノベル作家が「一般文芸に進出した作品」と言われてる様だけど、ラノベの域を出てない感じ。号泣したとか何度も泣いたと絶賛する声が多いんですが、秘密はかなり早い段階で察しがつくし、単に設定に泣かされてるだけなんですよね。ああイマドキの若い子達って、本格的な文芸小説を読んだことないんだな、と思う。とは言うものの、文字だけで号泣出来るってすごいことですよね。モモ母も読書量が多い方じゃないけど、時代を映し出す小説や人間の根源的なテーマに迫る様な深い作品、魂が震える様な作品がもっとたくさんある。これで泣いた人は、その体験を機にもっともっと小説を読んで欲しいなと思います。ちなみに読了したのは四条大橋のドトール。4階は別世界というので初めて上がってみました。四条通りを見下ろす窓側に一人席があって読書に最適です。小説的には三条大橋のスタバで読むべきなんでしょうけど、4階まで階段で上がる人が少ないから、穴場でオススメですよ。
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by mmcmp | 2016-11-07 23:13 | カフェ読書 | Comments(0)

「少将滋幹の母」

f0119179_22545376.jpgバーナードリーチ展を観に滋賀県立近代美術館に行った時、常設展に小倉遊亀の「少将滋幹の母」がありました。谷崎潤一郎の小説の挿絵を小倉遊亀が描いてたんですね、なんと豪華な、・・と思って小説を読むことにしました。
大学以来の再読ですが、これが見事に忘れてました。少将滋幹・・と言いながら、滋幹ってこんなに出てこなかったっけ?というくらい前半は平中や時平の話がメイン。好色漢の平中が侍従の君に恋文を出しても出しても返事が来ないので、「見たという二文字だけの御返事でもお寄こしになって下さい」と書くと「見た」という二字を破いて入れた返事が来た話、そんなにつれない侍従の君の汚物を見れば、彼女を嫌いになるだろうとお虎子を盗んで蓋を開けると丁子の良い匂いがしたという話、時平が正月の宴席の土産にと国経の若く美しい妻を大勢の目の前で奪って行った話などの古典の有名エピソードは恩師M先生から聞いて知ったと思っていたけど、この作品に書かれていたのでした。近年読んだ「痴人の愛」や「犯罪小説集」等の大衆的な作品と違って、こちらは見事な純文学で、谷崎の守備範囲の広さを再認識しますが、それでも美しい妻を年老いた自分だけのものにするのは忍びないという心理や幼い頃の母の面影を崇拝する滋幹の心情などは、やっぱり谷崎作品に共通するもの。ラストの滋幹と母の再会場面は本当にドラマチックで、映画を見る様に情景が浮かんで来ました。この作品は東京・大阪の両毎日新聞に連載されたそうで、当時の新聞って格調高かったんですね。しかも一般的な新聞小説と違って、全編完成されてから発表されたとか。文豪のこだわりを感じます。ちなみにこの作品を読み終えたのは三条の文椿ビルの「星雲」というクラシック音楽を流すカフェ。小説のクライマックスをBGMの如く盛り上げてくれたのが、劇的なショパンの調べでした。
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by mmcmp | 2016-10-20 23:55 | カフェ読書 | Comments(0)