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「火車」

「火車」_f0119179_1435663.jpg今年8冊目に読んだ小説は宮部みゆきの代表作「火車」。以前から気になっていたものの長さにびびって読んだことなかったけど、先月下北沢「DORAMA」の100円文庫本コーナーでみつけ、前日観た「無頼の女房」のパンフで市川勇が「何度読んでも面白い」とイチオシしてたのと、この分厚さで100円はお得!と妙な理由で購入しました。
休職中の刑事本間が甥から頼まれて彼の失踪した婚約者関根彰子の行方を捜すうち、甥と交際していた女性は彰子になりすました別人とわかり、2人の女性の人生からカード社会と自己破産者の実態が浮き彫りに。彰子の元同僚が「学歴も容姿も頭もいいわけじゃなく、会社でしこしこ事務してるような人間が、テレビや雑誌で見聞きするようなリッチな暮らしがしたいと思うと、昔は自力で夢をかなえるか、現状で諦めるしか選択肢がなかったけど、今はクレジットやサラ金が幸せな錯覚をさせてくれるの。それで幸せになれるわけじゃないのに、整形やダイエットに狂う女もいるわ」というようなことを言うワケです。かつては住宅ローンの返済に困る中高年が多く、今は若い人の自己破産が多いと文中には書かれていたけど、作品発表から15年以上経って、今はまた夢のマイホームを購入したものの返済できないなど、さほど贅沢もせず実直に働いてるのに多重債務に陥るケースが少なくないはず。先月定期が満期になるまで貯金残高がマイナスだったモモ母は、「自己破産するのは決して特別な人ではない」という弁護士の言葉がリアルに感じられました。
by mmcmp | 2010-05-08 02:41 | カフェ読書 | Comments(4)
Commented by 葉っぱ at 2011-11-07 20:52 x
私も10年ほど前に読んで、あまりの凄さに3日ほど放心状態になりました。キーになる女性のお母さんが借金のカタに過酷な労働を強いられたために「お刺身が食べられなくなった」という表現は、未だに忘れられません。今度、二度目のテレビドラマ化がされるそうです。いつも思うのですが、この世界は簡単に映像にできるものなんでしょうか?この小説ほど、ラストになるのが悔しかったのはありません…。
Commented by mmcmp at 2011-11-08 01:35
長さを感じさせない迫力ある内容でしたね。こういう作品は映像関係者にはドラマ化してみたい魅力があるだろうと思います。5日の放送だったんですね。最近テレビを見ないもんで見逃しましたが、笹野さんの弁護士役は適役でしょうね。
今は自分の落ち度なしに多額の借金を抱えるケースも多いと思うので、時代背景は変わったけれど、映像化に相応しい時期なのかも知れません。再放送、やらないかな・・・?
Commented by ゆきち at 2011-11-09 01:47 x
私も終了までの残り30分のみ見ました。別チャンネルの三谷幸喜さんのドラマでなく、火車の方(を見るの)が正解だったようです。あらすじ等、全くわからなかったけど、興味を感じました。著作権の関係、違法なんだろうけど、ネットの動画サイトにドラマやアニメ、音楽PVなど (画像の鮮明さや大きさ/迫力にこだわらなければ) アップされているので、時間のある時に最初から見ようと思っています。ビデオ録画した動画をネットを通じて、借りてるような感覚で罪悪感は正直感じていませんが、本来は見る方もルール違反していることになるのかな。それにしてもすごい時代です。小説書く人の創造力/想像力/空想力/構想力 っていうのかな どんな感じになってるんでしょう。経験、妄想等からいろんなものが湧き出てくるんでしょうか。クリエイターの人は本当にすごいです。
Commented by mmcmp at 2011-11-10 00:11
小説家の緻密な取材と文章力はすごいですよね。それを映像化する人たち、舞台化する人たちの技術の向上も目覚しいと思います。
でも、先ほどテレビでアシモの研究をやってましたが、ロボット工学の世界も目を見張るものがあるし、昨日高槻では内視鏡の話を聞いたんですが、内視鏡の進歩も本当に驚きです(オリンパスが別の意味で注目を集めてしまってあきれますが・・・)。どの分野も、前に進もうとする人たちはすごいですね。
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