京都シネマで漸く「マザーウォーター」を観ました。「かもめ食堂」や「めがね」のシリーズ最新作は京都が舞台。とは言え、嵐山や嵯峨野、祗園といったステレオタイプな京都が一切出てこないところが素敵。その代わりにモモ母がいつも目にする光景がそのまま映画になったみたいに登場します。
当ブログで何度も紹介したように主人公たちが経営する店は「
フランジパニ」や「
しずく」といったカフェや「
レモン館」のすぐ近くにある大徳寺門前のO豆腐。椅子の置かれた加茂川は映画を観る数時間前にモモと歩いた
上賀茂橋南のおおきな木があった辺りだし、
モモと撮った桜の木らしき並木も出て来ます。
モモが落ちた飛び石とは違うけど、荒神橋の飛び石も出て来ます。河原を白い犬が散歩するシーンがあったけど、かわりにモモが歩いていてもおかしくない。映画では気づかなかったけど、一瞬出てきた神社は仕事で長年通ってるところからすぐの護王神社。では、この映画がすごく良かったか?と聞かれると、そうとは言いにくい。台詞は示唆に富んだものが多かったけれど、あまりにそればかりだとクドかった。意図的に排したんだろうけど日常を描いた割には現実味のある具体的な台詞がない。マコトの家が生活感に乏しいのにも違和感がありました。モモ母が良いなぁと思ったのは、意外にも女性陣ではなく光石研でした。ただ、モモと河原を歩き、「
フランジパニ」でお茶を飲む2010年の日常を映像化したようなこの作品を、10年後、20年後に観たら、たまらなく愛しいと思うような気がしています。
http://www.vap.co.jp/motherwater/#/mokuji