「ポプラの秋」

f0119179_23434562.jpg高台寺の夜間拝観に続いて、週末は嵐山花灯路に行きました。帰りのJRの中から真っ赤な京都タワーが見えていたんですが、京都駅に着くとタワーの半分は緑色。クリスマスカラーだった様です。
先月、湯本香樹実の「ポプラの秋」を読みました。父を亡くした千秋と母が見知らぬ駅で郊外電車を降り、駅前商店街を抜けていくと住宅街の屋根の間から高い木が飛び出していて、高いところの葉っぱが風もないのにゆさゆさ揺れていた、その光景が目に浮かぶよう。庭にその木があることから「ポプラ荘」と呼ばれるアパートに引っ越した千秋と大家のおばあさん、アパートの住人との交流。天国に手紙を届けるというおばあさんの言葉を信じて、父に手紙を書き続ける千秋。湯本香樹実の作品は代表作「夏の庭」をはじめ子供と老人の交流、死の予感が繰り返し描かれていて、「夏の庭」や「西日の町」は好きだったけど、「岸辺の旅」は重くて苦手でした。この作家はやっぱり「夏の庭」が頂点だなと思っていたんですが、「ポプラの秋」はそれをこえるくらい好きな作品でした。とにかく昭和らしい風景と登場人物が懐かしく愛おしい。作家の年齢差f0119179_028329.jpgもあると思いますが、母子と周囲の人を描いた「漁港の肉子ちゃん」とは明らかに違うテイストです。ポプラ荘なんて名前の、日に焼けた畳や外に洗濯機が置かれたアパートがありそうな時代に子供時代を送った者には、こうした世界がもはや遠い記憶になりつつあること、平成から次の厳しい時代を生きていかねばならない、身近な人たちと別れて前に進まねばならない覚悟と相まって、妙に心に残る一冊となりました。
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by mmcmp | 2017-12-10 23:52 | カフェ読書 | Comments(0)
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