「羊と鋼の森」

f0119179_23573222.jpg宮下奈都の「羊と鋼の森」を読みました。「弘」で会った時に元テレビディレクターOさんから頂いた中の1冊で、宮下奈都? 松下奈緒?という感じで全く予備知識なく、映画化されたのも知らずに読んだけど、とても良かった。なるほど本屋大賞をとるだけのことはありますね、良い作品に出会わせてもらいました。ピアノ調律師として音と向き合い、成長していく青年を描いた、「舟を編む」や「神去なあなあ日常」にも通じるお仕事小説。どの仕事も奥深いけど、これはピアノの音色の純粋さにも通じる外村のひたむきさが清々しい。特別な才能がある訳ではないという自覚、どこまで行けるのかという不安。でも、確実に前へ進んでいる若さが懐かしくもあり、愛おしい。
「森の匂いがした」で始まる導入は、情緒的な底の浅い作品ではという印象を抱かせたけど、すぐにそれは全くの勘違いだと気づきました。ピアノは鍵盤を叩くと中のハンマーが弦を叩いて、音が鳴り、音色を決めるのに重要なのがハンマーにかぶせる羊毛のフェルト。だからピアノが作る世界が羊と鋼による森と表現されていたのでした。モモ母の高校の同級生N君も楽器店に務める調律師で、楽器店主催のチョロ教室の発表会で彼が弾くピアノ伴奏のファンだったりするんですが、調律師ってこんな人たちなんだ・・・と初めて知って新鮮な感じ。家庭のピアノから素晴らしいピアニストが誕生したり、調律を手がけたコンサート会場のピアノで鳥肌が立つような芸術的演奏が奏でられたり。それにしても、我が家のピアノは雑な使い方をしたうえにほったらかしになってて申し訳ない・・と、今更ながらに思うのでした。
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by mmcmp | 2018-07-01 23:54 | カフェ読書 | Comments(0)
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