大好きな小説のひとつ「白い犬とワルツを」は日本では津田沼の「BOOKS昭和堂」が店頭で作ったポップがきっかけでベストセラーとなったそうですが、その
「BOOKS昭和堂」が15日で閉店とのこと。本屋さん閉店のニュースが続きますね。
さて、西加奈子の「舞台」を読みました。西加奈子ってこんな強烈な文章を書く人だったのね、「
漁港の肉子ちゃん」がゆるい感じだったのでビックリです。田舎者なのに都会的に見られる自分を意識し続けた父親に反発して来た葉太が、父の遺産で初のニューヨーク旅行。なんとかダイナーで不味い朝食を食べた後、セントラルパークで念願の読書をと思った矢先に盗難に遭い、書店の冷水器の水と90セントのピザで何とかサバイバル。自意識過剰で間抜けに見られることを極度に嫌う性格が、窮地に陥って更にエスカレートする様は凄まじい。この小説は共感できる人と全く理解出来ない人に二分されそうで、モモ母は理解出来る方だけど、対面とか体裁にがんじがらめになってる人を見ると、それじゃあしんどいでしょうと思う。そうした客観的な視野を成長の過程で獲得して、自分がとことんこだわる所と見過ごす所をうまく振り分けられる様になる訳ですが、これを読むとしんどいままの人も意外と多いのかもと思ったり。葉太がマンハッタンを歩き回るからニューヨークのガイド的な要素もあって面白い。モモ母は初めてのニューヨークで友人とロックフェラーセンターのクリスマスツリーに感動し、5番街のフェラガモで靴を買って、ブロードウェイで「レ・ミゼラブル」を観るという葉太にバカにされそうな日本人観光客だったけれど、すごく楽しかったから、また来たいと思って二度目は一人旅。葉太はさんざんだったニューヨークを再訪したいと思ったかなぁ。成長した彼が次は存分楽しめると良いなと思うのでした。