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「愛憎の檻~獄医立花登手控え(三)」

「愛憎の檻~獄医立花登手控え(三)」_f0119179_235931.jpg日曜にたまたまテレビをつけたらフジコヘミングのドキュメントをやってました。1999年に放送されたものだそうで、下北沢在住のフジコが駅前の市場で買い物をする光景が懐かしかった。自転車でシモキタの街をいくフジコさんをよく見かけると友人が言ってたっけ。今までそんなに良いと思ったことがなかったけど、音色の美しさに魅了されました。美輪明宏が正確に弾くのが良いならAIに演奏させれば良いとコメントしていて、個性的な演奏の良さが分かるようになったのは年を重ねたからかなと思って見ていました。
さて、藤沢周平の「愛憎の檻」を読ました。獄医立花登のシリーズも若い頃より年を重ねた方が心にしみるのではないかと思います。罪を犯して牢屋に入ることになった者とその家族の機微が、この巻でも丁寧に描かれていました。風景描写も素敵で巻頭の「秋風の女」では「西空に傾いた力ない日差し」に染まる町の情景が頭に浮かびました。4話の「片割れ」でカラシやお酒を使って怪我の手当をする当時の医療事情もきっと丹念に調査して描写されているはず。6話「影法師」に出てくる「練塀」って何? と思ったら、練った泥土と瓦を交互に積み重ねて築いた塀。「のばら珈琲」近くのお寺の塀がまさにそれです。文庫本巻末の中井貴一のインタビューも興味深かった。1982年にテレビドラマ化された時に立花を演じたそうです。ただちょっと残念だったのは、この巻では柔道仲間の新谷弥助の登場が殆どなかったこと。(四)では再び出てくるのか、従妹のおちえと登の関係は? 次の最終巻が楽しみです。
by mmcmp | 2018-11-14 02:55 | カフェ読書 | Comments(0)
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