三浦しをんの「神去なあなあ夜話」を読みました。文庫本のつもりで仕事で欲しい本と一緒にネットで注文したら単行本が届きました。横浜出身の勇気が山あいの村で林業に従事することになった「
神去なあなあ日常」の続編。勢いがあってグイグイ読ませた全作に比べて、村の言い伝えや暮らしを描いた続編はやや大人しめで最初はちょっと物足りなかったけど、途中からやっぱり引き込まれるものがありました。
村の伝説を信じる世界は「
家守綺譚」にも通じるものを感じます。ただし現代に生きる二十歳の勇気はそれを「日本昔話的世界」だと客観的に評してる。お稲荷さんにお参りすると失せ物が出てきたのは、お稲荷さんの神通力というより、信心深い村人の良心が咎めたから。そういえば昔は悪いことをしたら「お天道様が見てる」と言われたものです。そして「つながること」の大切さは「
風が強く吹いている」にも通じると思うのです。「風強」が仲間を信じ、襷をつなぐことでつながるのに対し、「神去」は森の奥深くで自然とひとつになったり、伝説を語り継いだり、村の歴史を知ることで先人とつながり、自らも未来へつなげていく。その大きな流れの中で村祭だったり、本物の木を使ったクリスマスだったりと村人のささやかだけど尊い日常が重ねられる、やっばりダイナミックな話なのでした。「風強」といえば、
17日にニコニコ動画で、
1月1日にはCS日テレでアニメの一挙放送があります。見てない人も今から追いかけて、
お正月の箱根駅伝を楽しみましょう。原作本もすごい売れてるようで重版出来、近くの書店では先日まで平積みされてた
アニメのカバー付文庫本がなくなって通常バージョンだけになってたし、街中の書店では完売したのか1冊も見当たりませんでした。「自分にとって人生のバイブル」「もっと早く出会いたかった」との感想を見かけ、多くの人の力になってる様です。風強も神去もオススメです!