2018年 08月 29日 ( 1 )

「白ゆき姫殺人事件」&「我が家の問題」

f0119179_1311576.jpg湊かなえの「白ゆき姫殺人事件」を読みました。「白ゆき」石鹸を販売する会社の美人社員が殺され、同僚や同級生、地元住民を取材した証言で構成された作品。記者がSNSにつぶやいた画像が参考資料として付いてるのがイマドキの小説という感じ。他人の目や証言というのがいかにいい加減なものか、現実の報道も鵜呑みにしてはいけないなと改めて思うのでした。
続いて奥田英朗の「我が家の問題」。夫は仕事ができないらしいと気づいた妻を描いた「ハズバンド」。妻が走ることにハマリだし、東京マラソンに出場することになった「妻とマラソン」など、些細なことかもしれないけれど、当事者にとっての一大事を描いた6作品の短編集。「家日和」の時も思ったけど、この作家は家族の心情を描くのが実に巧い。一作目、シアワセいっぱいのはずの新婚生活にどうも馴染めない「甘い生活」から、無茶苦茶ハマりました。周りからは贅沢な悩みだと言われるけど「開けっ放しのトイレで用を足し、好きな時におならをしたり、げっぷをしていた」生活が長かった淳一の家に妻という別の人間がやってきた。気ままな暮らしが長いと窮屈なのは当然。「文化の享受なくして人生はない、好きなアーティストが来そうもない地方に住むのは考えられない」と大学卒業後も東京で暮らすことしか考えなかった幸一と「キャリアを磨くためには東京とf0119179_14314347.jpgいう街が必要だった」沙代が結婚して初めてのお盆休みに札幌と名古屋の実家に帰る「里帰り」。親戚も集まるのは面倒だと本音では思ってるし、義理の親と意味のない話をだらだら続けるのは沈黙よりマシだろうと言葉を発しているだけというのもとってもリアル。でもどの作品も読後感が良く「フリン」や「トリップ」にはない温かさが魅力です。解説を読んで「妻とマラソン」が「家日和」の「妻と玄米御飯」の続編だと初めて気づきました。
[PR]
by mmcmp | 2018-08-29 14:45 | カフェ読書 | Comments(0)