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「舞台」

f0119179_2220297.jpg大好きな小説のひとつ「白い犬とワルツを」は日本では津田沼の「BOOKS昭和堂」が店頭で作ったポップがきっかけでベストセラーとなったそうですが、その「BOOKS昭和堂」が15日で閉店とのこと。本屋さん閉店のニュースが続きますね。
さて、西加奈子の「舞台」を読みました。西加奈子ってこんな強烈な文章を書く人だったのね、「漁港の肉子ちゃん」がゆるい感じだったのでビックリです。田舎者なのに都会的に見られる自分を意識し続けた父親に反発して来た葉太が、父の遺産で初のニューヨーク旅行。なんとかダイナーで不味い朝食を食べた後、セントラルパークで念願の読書をと思った矢先に盗難に遭い、書店の冷水器の水と90セントのピザで何とかサバイバル。自意識過剰で間抜けに見られることを極度に嫌う性格が、窮地に陥って更にエスカレートする様は凄まじい。この小説は共感できる人と全く理解出来ない人に二分されそうで、モモ母は理解出来る方だけど、対面とか体裁にがんじがらめになってる人を見ると、それじゃあしんどいでしょうと思う。そうした客観的な視野を成長の過程で獲得して、自分がとことんこだわる所と見過ごす所をうまく振り分けられる様になる訳ですが、これを読むとしんどいままの人も意外と多いのかもと思ったり。葉太がマンハッタンを歩き回るからニューヨークのガイド的な要素もあって面白い。モモ母は初めてのニューヨークで友人とロックフェラーセンターのクリスマスツリーに感動し、5番街のフェラガモで靴を買って、ブロードウェイで「レ・ミゼラブル」を観るという葉太にバカにされそうな日本人観光客だったけれど、すごく楽しかったから、また来たいと思って二度目は一人旅。葉太はさんざんだったニューヨークを再訪したいと思ったかなぁ。成長した彼が次は存分楽しめると良いなと思うのでした。
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by mmcmp | 2018-09-15 23:57 | Comments(0)

「白ゆき姫殺人事件」&「我が家の問題」

f0119179_1311576.jpg湊かなえの「白ゆき姫殺人事件」を読みました。「白ゆき」石鹸を販売する会社の美人社員が殺され、同僚や同級生、地元住民を取材した証言で構成された作品。記者がSNSにつぶやいた画像が参考資料として付いてるのがイマドキの小説という感じ。他人の目や証言というのがいかにいい加減なものか、現実の報道も鵜呑みにしてはいけないなと改めて思うのでした。
続いて奥田英朗の「我が家の問題」。夫は仕事ができないらしいと気づいた妻を描いた「ハズバンド」。妻が走ることにハマリだし、東京マラソンに出場することになった「妻とマラソン」など、些細なことかもしれないけれど、当事者にとっての一大事を描いた6作品の短編集。「家日和」の時も思ったけど、この作家は家族の心情を描くのが実に巧い。一作目、シアワセいっぱいのはずの新婚生活にどうも馴染めない「甘い生活」から、無茶苦茶ハマりました。周りからは贅沢な悩みだと言われるけど「開けっ放しのトイレで用を足し、好きな時におならをしたり、げっぷをしていた」生活が長かった淳一の家に妻という別の人間がやってきた。気ままな暮らしが長いと窮屈なのは当然。「文化の享受なくして人生はない、好きなアーティストが来そうもない地方に住むのは考えられない」と大学卒業後も東京で暮らすことしか考えなかった幸一と「キャリアを磨くためには東京とf0119179_14314347.jpgいう街が必要だった」沙代が結婚して初めてのお盆休みに札幌と名古屋の実家に帰る「里帰り」。親戚も集まるのは面倒だと本音では思ってるし、義理の親と意味のない話をだらだら続けるのは沈黙よりマシだろうと言葉を発しているだけというのもとってもリアル。でもどの作品も読後感が良く「フリン」や「トリップ」にはない温かさが魅力です。解説を読んで「妻とマラソン」が「家日和」の「妻と玄米御飯」の続編だと初めて気づきました。
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by mmcmp | 2018-08-29 14:45 | カフェ読書 | Comments(0)

「風が強く吹いている」

f0119179_2334288.jpgお盆ですね。ボンジョビで踊る中野の盆踊り動画が拡散されてて、「松戸ではジンギスカンで踊ってた」というリプも。それと、3日連続で「満願」をドラマ化してますね。「万灯」をチラッと見たけど西島秀俊はちょっとイメージ違うなぁ・・・。
さて、三浦しをんの「風が強く吹いている」を読みました。漫画オタクの王子や双子のジョータとジョージ、留学生のムサなど竹青荘に住む10人の大学生が箱根駅伝に挑むお話。漫画みたいな設定で、実際に素人が一年でそんなに簡単に成長するとは正直思えない。でもリアルに描こうとしてるのにからくりが嘘っぽいと思った「満願」よりずっと違和感ないし、文章に勢いがあるから650頁ほどの長編をどんどん読み進めたくなります。タイミングを逃してレビューを書かなかったけど、昨年読んだ佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」もすごくハマって、「一瞬の・・」はリレー、「風が・・」は駅伝、何人もの選手が練習を重ね、仲間とバトンや襷をつないでゴールを目指す姿は読んでて楽しい。でも「一瞬の」で描かれたのは高校生の部活で、彼らはトップアスリートになれる訳ではないし、彼らが走る意味は何だろうと考えさせられたけど、この作品にはその答えが描かれていました。彼らが長距離を走るのは「速く」でなく「強く」なりたいから。勝利至上主義的な昨今の風潮へのアンチテーゼでもあるのかな。物語は陸上経験のあるハイジと走を主に展開し、後の8人はどちらかというとモブキャラっぽいんですが、各自が走る区間でそれぞれの思いやこれまでの生き方などがきちんと描かれていて、このあたり三浦しをんは本当に上手い。執筆するに当たって時速20キロで走る車の窓から顔を出して、選手たちが受ける風を体感したというエピソードも好き。来年の箱根駅伝を見る目が変わりそうです。10月からアニメをやるようで、コンテンツ不足なのね、と思いつつ見てしまうかも。「舟を編む」と双璧をなす名作に出会えて嬉しかったです。
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by mmcmp | 2018-08-16 01:44 | カフェ読書 | Comments(0)

「フリン」

f0119179_032452.jpg歴史に残る名演説と言われた枝野さんの内閣不信任案趣旨説明演説が書籍化され、アマゾンで1位(現在は2位)になるなど大きな反響を呼んでいるようですね。2時間43分にわたる大演説なのでBGMがわりに流し聴きしましたが、話が明瞭なので作業しながらでもとてもよく理解出来ました。解説やレジメ付らしいから、買ってみようかな。
さて、椰月美智子の「フリン」を読みました。様々な不倫を描いた連作短編集で、それぞれ独立した話のようだけど、どの作品も「リバーサイドマンション」という昭和な名前のマンションに住む人たちの話で、最後の「二人三脚」は管理人である老夫婦のエピソード。確かにどこのマンションにもそこに住む人それぞれのドラマがあるし、老夫婦が思いもかけぬ過去を持ってたりすることはありますね。小さい頃に仲良しだったお姉さんが母と再婚した義父と不倫してたり、隣の部屋にかつての恋人が引っ越して浮気を始めたりと設定がやや漫画風。それならいいっそ息子の同級生「がっちゃん」に母親が恋心を抱いてしまうというほぼありえない設定の「年下の男の子」がなかなか楽しめました。これまで3冊読んだ椰月作品の中ではお目当てだった「しずかな日々」が一番好きでした。
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by mmcmp | 2018-08-02 01:04 | カフェ読書 | Comments(0)

「羊と鋼の森」

f0119179_23573222.jpg宮下奈都の「羊と鋼の森」を読みました。「弘」で会った時に元テレビディレクターOさんから頂いた中の1冊で、宮下奈都? 松下奈緒?という感じで全く予備知識なく、映画化されたのも知らずに読んだけど、とても良かった。なるほど本屋大賞をとるだけのことはありますね、良い作品に出会わせてもらいました。ピアノ調律師として音と向き合い、成長していく青年を描いた、「舟を編む」や「神去なあなあ日常」にも通じるお仕事小説。どの仕事も奥深いけど、これはピアノの音色の純粋さにも通じる外村のひたむきさが清々しい。特別な才能がある訳ではないという自覚、どこまで行けるのかという不安。でも、確実に前へ進んでいる若さが懐かしくもあり、愛おしい。
「森の匂いがした」で始まる導入は、情緒的な底の浅い作品ではという印象を抱かせたけど、すぐにそれは全くの勘違いだと気づきました。ピアノは鍵盤を叩くと中のハンマーが弦を叩いて、音が鳴り、音色を決めるのに重要なのがハンマーにかぶせる羊毛のフェルト。だからピアノが作る世界が羊と鋼による森と表現されていたのでした。モモ母の高校の同級生N君も楽器店に務める調律師で、楽器店主催のチョロ教室の発表会で彼が弾くピアノ伴奏のファンだったりするんですが、調律師ってこんな人たちなんだ・・・と初めて知って新鮮な感じ。家庭のピアノから素晴らしいピアニストが誕生したり、調律を手がけたコンサート会場のピアノで鳥肌が立つような芸術的演奏が奏でられたり。それにしても、我が家のピアノは雑な使い方をしたうえにほったらかしになってて申し訳ない・・と、今更ながらに思うのでした。
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by mmcmp | 2018-07-01 23:54 | カフェ読書 | Comments(0)

「細雪 下巻」

f0119179_2314303.jpg細雪」下巻を読み終えました。下巻の内容はまるで憶えてなくて、初めて読む感覚で楽しめました。さすがに戦争についても書かれてますが、大垣での蛍狩りや河口湖半への旅の様子などが優雅に描かれています。但し、幸子夫婦が滞在した奈良ホテルは南京虫がいるひどいホテルという設定、谷崎は何か嫌な思いでもしたんでしょうか?
妙子は下巻でも赤痢になったり流産したりと散々な目に。4人姉妹の中でも妙子は変わり種と表現されてますが、今は彼女のような女性が多くて、見合い相手からの電話に恥ずかしくて出られない雪子のような女性の方が寧ろ稀有。だからこそ谷崎は滅びゆく美しいものの象徴として雪子を主人公にしたんでしょうね。本家を立てたり、「筋違い」の言動を嫌うのは家柄を大事にする価値観の中で生きる姉妹たち故かも知れませんが、芸事のたしなみにも時代を感じます。幸子の娘の悦子、女中のお春どんも含めた女性たちは日舞や三味線などを習っていて、歌舞伎の知識も豊富。そういえば、子どもの頃、仲の良かった子のお母さんに踊りの会に連れて行ってもらったっけ。娘時代に発表会で藤娘を踊ったという話を高齢者からよく聞きます。昔は数え年6歳の6月6日に芸事を習い始めると上達するなどと言われましたが、今はピアノやダンスを習う子はいても三味線や日舞を習う子は稀だろうし、6月6日にこだわる親も滅多にいないでしょうね。「こいさん、頼むわ」で始まるこの小説、終わりはどんなだったかすっかり忘れてたけど、雪子に関する意外な描写でしめられていたのでした。またいつか再読しようと思っています。(※こんなブログみつけました!)
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by mmcmp | 2018-05-29 23:12 | カフェ読書 | Comments(0)

「細雪 中巻」

f0119179_23574583.jpg谷崎潤一郎の「細雪」を楽しく読んでいます。上巻は三女・雪子のお見合いを軸に展開したけど、中巻は四女・妙子が前面に出る展開。人形制作から洋裁に興味が移って洋行を希望したり、山村流の舞を披露したり、水害に巻き込まれたり。かつての駆け落ち相手だった啓坊(けいぼん)こと奥畑も冒頭から登場し、水害の時に命懸けで妙子を救った写真師の板倉も重要な役割を果たします。確か板倉って亡くなるんだよねと思っていたら、中巻のラストで絶命。その顛末が前に読んだ時も不気味だったけど、今回もやっぱり怖かった。板倉より家柄の良い奥畑と結婚する方がマシという姉達の発想や東京を訪れた際にローマイヤアで食事したり、歌舞伎を観たりする優雅さはいかにも昭和の旧家。大阪らしい言葉遣いも含めて「かつていた人達」だなと思う。些細な出来事、日常の会話が巧みに挿入されていることで、暮らしぶりがリアルに伝わって来ます。この作品には谷崎特有の倒錯した世界は描かれてないんだけど、幸子の夫の貞之助が帰宅すると雪子が妙子に足の爪を切ってもらっていて、貞之助が襖を開けたら雪子が足の甲をすっと裾の中に入れる場面が印象的。さすが足フェチの谷崎らしいなと思ったのでした。
1983年に市川崑が「細雪」を映画化していて、「ラルゴ」のメロディと幸子を演じた佐久間良子の美しさが印象的だったんですが、奥畑を桂小米朝(現・桂米團治)さんが演じていたんですよね。小米朝さんのラジオ番組の構成をすることなった時、「細雪に出てた人」とお仕事するのが不思議な気がしたのを思い出しました。懐かしいです。映画、また見たくなりました。「平成細雪」は未見。モモ母はアサヒビールのCMの美女3人に平成の細雪をやってほしいです。
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by mmcmp | 2018-05-10 01:16 | カフェ読書 | Comments(0)

「仮面の告白」&「細雪 上巻」

f0119179_228393.jpg三島由紀夫の「仮面の告白」を読みました。昨年読んだ「午後の曳航」がすごく良かったから他の作品を読みたくなったんですが、これは合わなかったですね~。祖母に溺愛され、祖母が選んだ女の子とだけ遊んでいた子供時代など自伝的な要素が強く、当時としてはセンセーショナルだった同性愛的な志向を描くなど、文学的な意義はわかります。でも、作家の若さが読んでてちょっとしんどかったです。「聖セバスチャンの殉教」の絵画って、なんでこんな残酷な場面を描くかなぁと思いながら、つい怖いものみたさで見てしまう感じがありますが、ゲイの象徴になってたとは初めて知りました。
続いて谷崎潤一郎の「細雪」の再読を始めました。natsunoさんが「細雪」を読まれた記事を読み、自分も読んでみようと思ったのでした。「仮面の告白」と時代背景や発表年代が近いのに全然印象が違って、戦時色を全く感じさせない小説です。軍部から雑誌掲載や私家版の配布を禁じられてたにも関わらず、執筆を続けた執念。今、読むと学生時代とは違う感慨がありました。描かれた関西の生活文化は子供の頃、こういう感じの人たちっていたなぁ、こんな会話いかにも言いそう・・という懐かしさ。魚は鯛、花は桜と言って毎年同じ場所へのお花見をf0119179_2323245.jpg繰り返す、育ちの良さを感じさせるおっとりした感じ。多分、学生時代はまだそんな世界が身近に残ってたから、普通に読んでたんでしょうね。渋谷の風景も「春の小川」の河骨川があった頃ののどかさがあって興味深い。詳細はすっかり忘れてたけど、次女幸子の娘の悦子が路上の鼠の死骸を異様に恐れる場面だけは印象に残っていて、ああ、これは上巻にあったエピソードだったんですね。やっぱりモモ母は谷崎が好き☆
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by mmcmp | 2018-04-24 23:31 | カフェ読書 | Comments(0)

「風雪の檻~獄医立花登手控え(二)」

f0119179_22275315.jpgかなり前ですが、藤沢周平の「風雪の檻」を読ました。「春秋の檻」に続く獄医立花登手控えの第二弾短編集です。登は起倒流の柔術の使い手という設定。牢獄の罪人達の怪我や病を治療する獄医としての仕事には前巻より随分慣れた様子だけど、第一話「老賊」の冒頭から柔道仲間の新谷弥助がこのところ道場に姿を見せていないことが語られ、不穏な幕開け。続く「幻の女」は一度は賭場から足を洗った巳之吉が、昔のつきあいから男二人を殺傷、彼が島送りになる前におこまという女性を探そうとした登だけど、その消息は喜ばしいものでなく、巳之吉に知らせることが良いのか、事実を知らないままの方が幸せなのか。こういう設定がいかにも藤沢周平らしい。
「押し込み」は義賊を気取って押し込み強盗を企てた源次たちだったけれど、同じ店を本職の盗人が狙っているのがわかる。しかもかなりの悪党たち。登はやめさせようとするのに弥助に加勢を頼む。「処刑の日」は限られた時間の中で真犯人を追う緊迫感がエンタメ性抜群で面白い。今回も読み応え十分でした。今回、居候先の娘おちえと登の関係に微妙な変化があるのが興味深い。「春秋の檻」のおちえは派手に遊ぶ我が儘娘で、「登」と呼び捨てにしていたのに、誘拐されて懲りたのか「風雪の檻」では随分しおらしくなって「登にいさん」と呼びように。そしてラストは登本人も驚くような展開に。微笑ましいエピソードだけど、ウブで真面目な登に元ヤンのおちえは手に負えないと思うけどなぁ。次巻が気になります。
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by mmcmp | 2018-04-08 23:51 | カフェ読書 | Comments(0)

「トリップ」

f0119179_2253429.jpg6日に予定されている財務省の調査報告が、いつの間にか「調査方針の報告」になってました。清水潔さんが若い人に向けたtweetをしてましたが、今までなかった異常事態が続いています。月曜は古賀茂明さんの記事にゾッとしました。着任早々「しゃこたん」発言をした福井さん、温泉豪遊のハレンチ写真が話題になってたけど、こういう報道弾圧をしてきた人を沖縄・北方担当に任命するのが安倍さんなんですね。
さて、角田光代の「トリップ」を読みました。と言っても、読了は1月なのですが、東京近郊の街に暮らす普通の人たちの日常を描いた連作で、1作目は駆け落ちに失敗した高校生の話で、それ以降は前作にモブで登場していた人が次の作品の主人公になっていくスタイル。前作では影が薄かったのに、この人、本音ではこんなこと思ってたのねという面白さ。そりゃ肉屋に嫁いだ主婦だって古本屋でバイトする独身女性だって、一人一人いろんなことを毎日考えてるし、秘密を抱えてるよね。ただ、この本の前にサリンジャーの「フラニーとズーイ」を読んでいたせいもあるのではないかと思うのですが、読みながら登場人物たちの苛立ちや不安定感が伝染してきて、何となくそこで生き続けるって大変だよねと思い、背表紙に書かれた「透明感のある文体で描く珠玉の連作小説」という表現には同意出来ませんでした。
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by mmcmp | 2018-03-06 00:26 | カフェ読書 | Comments(0)